発生学のススメ

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なんかへんだなぁ~

ちょっと違うような・・・

そうだ!

やっぱり、困った時にはこの本だよね!(ジャーン)

取り出したのは「発生学」!

また始まった・・・ (^^;

発生学のススメ

エコーをやっている方ならわかると思いますが、ヒトの身体の中身は十人十色。それこそ千差万別です。誰もが同じ大きさや形をしている臓器を持っているわけではありません。「ちょっと普通と違うぞ」っていうことは、いくらでもあります。でも、それぞれにみんな正常なんです。

◆正常と異常の境目

エコーで意外にやっかいなのは・・・

この「ちょっと普通と違っているけど正常」ってヤツです。これって、はじめた頃はホントに悩みます。「異常」なの? それとも「正常」?

もし正常なのに、「異常あり」とか、「悪性かも」なんて報告をしてしまったらどうなるでしょう?

主治医は患者さんにこういいます。「超音波の検査でここに影がありますから、念のためもう少し詳しく調べてみましょう」

もしかして「私は癌?」と、患者さんはいらぬ心配をします。また、再検査や精密検査で無駄な医療費もかかります。これは、出来るだけ避けたいところですね。

でも、超音波検査の役割で大切なことの一つは「病気の早期発見」なのです。異常は早く見つけなきゃイケナイし、かといって過剰診療に繋がっても良くない。そこで大事なのが、その人にとって「正常なのか」それとも「病気」なのか。

普通とちょっと違う超音波所見を頼りに、病気を早期に発見しなければなりません。そこで、「正常」と「異常」を見分けるために必要な知識が「発生学」なのです。

◆発生学のススメ

例えば腎臓の「Bertin’s column:ベルタン柱」

ベルタン柱は腎皮質の過形成(?)ですが、CECに突出しているベルタン柱の像が、あたかも「腫瘍」にみえる場合があります。腎細胞癌や腎盂癌と判断に困りますね。

「fetal lobulasion:胎児性分葉」なんてのもあります。

腎臓は胎生期に10個くらいの腎葉というものが一つにまとまってできます。これがうまくいかないと、成人になってもきれいに腎臓の形にならずにボコボコと葉状の状態で残ってしまうんですね。外側に突出してみえるため、腎細胞癌と間違えてしまうこともあります。

「馬蹄腎」や「重複腎盂」

いずれも発生の過程で生じるもので、エコー初心者や、知らない人は「癌かも?」と結果を出してしまう可能性があります。

「異所性腎」

腎臓がないっ! ← たまにみかけます。
腎臓は胎児期に骨盤腔から通常の場所に上がってきます。上がりきれずに骨盤腔内に留まってしまう場合や、逆に上がり過ぎて脾臓の上まで行ってしまうことも。

腎臓の例をいくつかあげましたが、他の臓器でも同じように発生の過程がちょっとうまくいかなかっただけで「普通と違っているけど正常(特に問題ない)」になってしまうことがよくあるのですね。

早期発見に必要な「初期の異常」と、「正常だけど、ちょっと変」。この差を見分けられるようになるために、「発生学」を勉強することをオススメします(^^)v

◆編集後記

今日の「内臓逆位不全」はタイヘンでした(汗)

身体の臓器が全部逆なら簡単なのですが、肝臓は正常の位置
にあって、脾臓は逆側肝臓の横に。

そして、胆嚢と膵臓はどこっ? って感じで・・・。

病気じゃないけど、普通と違う・・・

これを「正常変異(normalvariant,normal anomaly)」なんていいます。

「正常変異」には先天的なものもあれば、大人になってから起きる肝臓の「Accessory fissure on the liver」みたいな後天性のものがあります。

また、「正常」であればよいのですが、先天的な変異が病気になってしまうことも、ここには書ききれないほどたくさんあります。

やはりエコーには「発生学」の知識も必要ですね。

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