転移性肝がんのエコー像
転移性肝癌:metastatic liver tumor
転移性肝癌は肝臓以外に発生した癌や肉腫が肝臓に転移したもので、原発性の肝臓癌よりもはるかに高い頻度でみられます。
ですから、全身各臓器における悪性腫瘍の病期診断では、肝臓への転移の有無を確認する必要があります。
転移の経路としては、血行性転移、リンパ行性転移、直接浸潤があります。
血行性転移は、胃癌、大腸癌、膵臓癌などからの経門脈性と、乳癌、腎癌などの経肝動脈性がありますが、その中でも圧倒的に多いのが門脈を介した血行性転移です。
転移性肝癌の組織像は、原発巣を反映して中心部の壊死や石灰化変性、嚢胞形成など多彩な組織像がみられます。組織像を反映して超音波像も多彩な像をしめしますが、一般的に次のような特徴があります。
●類似したエコー像をもつ腫瘤が多発している
●幅の広い辺縁低エコー帯をもっていることが多い
●target pattern、bull’s eye patternを呈する
●中心部に液化壊死を反映した無エコー域をみる
●多数の腫瘍が集族融合してcluster signを呈する
●内部に石灰化を伴うことがある
●肝表面にできた場合は辺縁が陥凹(癌臍:umbilication)することがある
転移性肝腫瘍が疑われる場合には、肝臓以外の臓器への転移や浸潤、腹腔内リンパ節の腫大、胸水、腹水の有無などもあわせて検索しましょう。
参考文献
※肝腫瘤の超音波診断基準(日本超音波医学会)