前回に続きC型肝炎です。
▽C型肝炎情報
↓
http://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/c_gata.html
初心者のための超音波検査セミナー
▽肝炎の超音波所見
C型肝炎は、放っておくとほとんどが急性期 ⇒ 慢性期 ⇒ 肝硬変と進行してしまいます。
とーぜん進行度によって、超音波像も変わってきます。ところが、急性・慢性・肝硬変とかいうのは、便宜上つけられた名前ですから、この病期分類によって病態や超音波像がきっちり分けられる訳ではありません。 ← 重要!
炎症の程度によっても、まったく違ってきます。
でも、まずは病期による超音波像の変化をきちんと頭の中で整理しておきましょう!典型例を知っておくことは基本ですからね。
たとえば
●急性期は肝臓の腫大、辺縁の鈍化、実質エコーレベル低下、脾腫、胆嚢壁の肥厚・・・
●慢性期の特徴は、肝左葉の腫大と右葉の萎縮、肝実質エコーの粗雑化と軽度の脾腫
●肝硬変は・・・
こんなふうに自分で勉強して整理しておきましょう!
本に載ってますから
▽肝炎の進行度や病態を知るには?
お腹に太い針をさして組織をとり、病理検査を実施すれば確実に病態を知ることができます。
あたり前です。
でも、そんなタイヘンなことをしなくても、血液検査と超音波検査で簡単に、そして患者さんへの負担も少なく病態を把握できます。
これもあったり前。
これ以上 何かあるの?
あります!!
「少ない情報の中で、いかに早期発見するか」です。本当の超音波検査の意義は、ここにあります!21号の一部をもう一回読んでください
——- ここから ———-
友人と久しぶりにお酒を飲みに行ったときのことです。 その友人が「最近体がだるくって、仕事にならないんだよ」と・・・
ちょっと手のひらを見ると、親指の付け根あたりがやけに赤い。
「ちょっと肝臓悪いんじゃないの?」
「エコーやってみようよ」ってことで、すぐ次の日に検査をしました。
肝臓はちょっとエコーレベルが高い程度。「脂肪肝だよ。酒の飲み過ぎ!」なんて冗談云ってたのです。
あれっ待てよ?
肝門部のリンパ節がちょっと腫れている。さらに検査をすすめると、脾臓も大きくはないが、ふっくら丸々としてる。
これ、ちょっとマズイんじゃない!
————- ここまで ———-
この時、友人の症状は「身体がだるい」「手のひらが赤い」でした。超音波検査所見は「肝門部リンパ節の腫大」「軽度脾腫」です。
これでC型肝炎を疑えますか?
疑えなくてはいけません! C型肝炎に限らず、どんな病期でも早期発見できるにこした事はないのです。
それだけ早く治療が始められますからね。
それには、より多くの疾患について、初期の超音波像や所見を知っていることが必要になります。典型例は知っていて「あったりまえ」なのです。
ちゃんと自分で勉強しましょう! 本に載ってます。
● あなたの検査した患者さんは、本当に正常でしたか?
● あなたは疾病初期の超音波所見が見えてますか・・・?
言い忘れましたが、肝炎の原因にはウイルスの他にもアルコール、薬剤などがあります。ウイルス性肝炎でも、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスでは異なる超音波像を呈します。超音波検査で「肝炎の原因」を区別する「目と知識」を養っておきましょう!
◆編集後記
このあいだ、超音波検査の報告書をチェックしてた時のことです。一枚の報告書が目に留まりました(まだ紙で報告書かいてます!)
依頼の内容は、よくある「腹痛、軽度黄疸による胆道系チェック」
検査所見報告欄には、腹痛の原因と考えられる明らかな異常所見はないようでした。
~書いてあった検査所見~
“肝内胆管から肝管、胆嚢、三管合流部、総胆管、ファーター乳頭にかけて結石や腫瘤像はみられない”
ふんふん・・
あれっ! ファーター乳頭!?
あんたホントにみえたんかいっ!