初心者のための超音波検査セミナー
▽みんなが嫌いな超音波の基礎
「アーチファクト」つづきです。
アーチファクトの中でも「音響陰影」と「音響増強」はよく遭遇するアーチファクトですよね。
音響陰影と音響増強は、
なんでできるのでしょう?
どんな時にできるのでしょう?
あなたは知ってますか?
まさかとは思いますが・・・
結石の後ろ ⇒ 音響陰影
嚢胞の後ろ ⇒ 音響増強
こんな憶え方はしてません・・・よね?
「ちゃんとわかってるよ!」という方は、ここから先を読む必要ありません。
「ドキッ!」っとした“あなた” ぜひ読んで下さい!
『 音響陰影と音響増強 』
音響陰影と音響増強には超音波の性質である「減衰」が深く関わっています。
難しい本には「吸収、反射、散乱、拡散、屈折、回析等によって減衰する」な~んてわけのわからない難しい単語が書いてあります。
こんな難しい言葉を並べられると拒否反応を起こしてヤル気が減衰してしまいますよね。 (^^;
減衰を簡単にいうと・・・
プローブから発射された超音波は、そのままずっと進んでいくわけではなく、途中で熱に変わったり、はねかえったり、曲がったり、あちこちに飛び散ったりして、だんだん弱まっていきます。
こんなものを減衰って呼ぶそうです。
超音波のパワーは、気体や液体、固体の中を進むうちに小さくなってしまうということですね。
では、進んでいく途中で急に大きな減衰がおきた時、どうなるのでしょう?
その後ろ側には超音波ビームが届きません。それ以上先に届かないってことは、その部分の反射波は当然返ってこない。
これではいくらスゴイ超音波装置でも画像がつくれません。だから真っ黒な部分(無エコー域)ができてしまいます。影みたいに見えるから「音響陰影:acoustic shadow」と呼ばれます。(たぶん)
では、急に大きな減衰がおきる場合ってどんな時でしょう?
大きな原因は二つあるようです。一つは、強い反射源がある場合。つまり、音響インピーダンスの差が大きい部分でしたね。もう一つは超音波ビームの吸収が大きい場所です。
そういう部分が「結石」であったり、「骨」だったり、「石灰化」だったり、「肺や消化管内のガス」であったりするわけです。
乳癌の中で最も頻度の高い硬癌は、間質性の結合組織が豊富で、後方にエコー輝度の減弱や音響陰影を伴うことが特徴の一つです。このように、線維組織も超音波を大きく減衰させます。(難しくてスミマセン)
また、結石でも大きさや種類によって超音波の透過性が高く、音響陰影のでないものもあります。(胆嚢でやりましたよね)
ということで、「結石の後ろ = 音響陰影」ではありませ~ん。
また つづく・・・
「つづく」の理由を言っておきますが、午後の仕事がもうすぐ始まるからでも、眠たいからでもありません!
あまりにも長くなってしまいそうなので・・・ ホントです
次回は「音響増強:acoustic enhancement」の予定です。
◆編集後記
腹部領域でもっともアーチファクトに遭遇しやすいのは胆嚢でしょうか。(僕だけかな・・)
胆嚢内腔にはサイドローブアーチファクト、多重反射、音響陰影、スライス幅による虚像など、胆嚢はアーチファクトだらけといってもいいかもしれませんね。
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