腹部超音波検査 肝臓3 肝炎と肝硬変

急性肝炎:acute hepatitis

急性肝炎は肝細胞の壊死を伴う非化膿性の急性炎症性疾患です。

アルコール性や薬剤性に比べてウイルス性の場合が圧倒的に多く、急性肝炎=ウイルス性肝炎として使われることが多いようです。

典型的な超音波像は、肝臓の全体的な腫大と肝臓実質エコーレベルの低下、さらにエコーレベルの低下に伴い肝内門脈壁エコーレベルが増強し、末梢門脈が明瞭に描出されることです。

肝機能低下が著明な場合は、胆嚢内腔虚脱、胆嚢壁肥厚がみられます。

劇症肝炎:fulminant hepatitis

劇症肝炎では、肝臓実質が広範囲に壊死をきたすため、肝臓実質のエコーレベルが地図状に不規則となります。

壊死が肝臓全体に及ぶ場合は、肝臓の萎縮のみで肝臓実質のエコーレベルが不規則にならない場合もありますので注意が必要となります。

胆嚢は虚脱し、腹水を認めます。

慢性肝炎:chronic hepatitis

6ヶ月以上持続する肝臓の炎症を慢性肝炎といい、臨床的には活動性と非活動性に大別されます。

慢性肝炎は、超音波像に所見を認めない例から肝硬変に近い例まで、進行度によって様々です。

原因としては急性肝炎と同様にウイルス性の場合が多く、特にC型肝炎ウイルスによるものが慢性肝炎へと移行しやすい。次いでB型肝炎ウイルスによるものとなっています。

典型的な超音波像は、肝臓実質がやや粗くなり、肝縁の先端部分が鈍化、肝左葉が腫大します。肝臓以外の所見として、肝門部付近のリンパ節が腫大や、脾腫もみられます。

肝硬変:cirrhosis

肝硬変は慢性肝障害の終末像で肝機能不全を伴います。肝臓本来の小葉構造は壊され、高度の線維化と再生結節の形成がみられます。

~肝硬変 典型的な超音波像~

●肝右葉の萎縮と左葉の腫大、あるいは両葉の萎縮
●肝表面の不整、凸凹
●肝縁の鈍化
●肝実質エコーの粗雑化
●肝静脈の狭小、径不同化
●脾臓腫大
●腹水
●胆嚢壁肥厚
●門脈側副血行路

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