超音波の原理「分解能」②

誰もが嫌いな超音波の基礎 その6

「分解能」のつづきです。

前回のおさらい

1.超音波装置は本当の身体の中身を映し出しているのではなく、つくられた画像です。

2.分解能とは「より細かく忠実に再現する能力」。

3.分解能の表現は、「近くにある2つの物体を2つのものとして区別できる最小の距離」を「mm」で表します。

4.私の目は分解能が低い! (T T)

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今回は分解能の種類と分解能向上の対策です。

▼分解能の種類

超音波の空間的な分解能にはいくつか種類があります。

一つは深さ方向の分解能。画面上では上下方向(超音波ビームの進行方向)です。これを「距離分解能」といいます。

次に画面上で左右方向。これは「方位分解能」といいます。

そして、もう一つがプローブの厚み方向の分解能。画面上では奥行きですね。これは「スライス分解能」と呼ばれます。

▼分解能向上のための技術と対策

超音波検査装置では分解能を向上するために、信じられないようなスゴイ技術を駆使している『みたい』です。← 機械的な詳しいことは難しくて、よくわかりませんが…

距離分解能

距離分解能はパルス幅が短いほど分解能が高くなります。

パルス幅?

超音波検査で使う音波はずっと出し続けているのではなく、途切れ途切れに出しているんですね。人の声で例えると「あ―――――――――――」ではなく、「アッアッアッアッアッアッ」というかんじです。

なぜパルス波を使うのかというと…、パルス波を使うと距離の情報が得られるからです。深さ●●センチのところに、▲▲センチのものがあると表示できるのです。

これが「あ―――――――――――」のように連続的な音波だと、音波が通った部分に何かがあるのかはわかります。でも、「どの深さ」に「どのくらいの大きさのもの」があるのかはぜんぜんわかりません。

断続的に音波を出す(パルス波)方法だと、音波を発射したあと、「何か」にぶつかって返ってきた時間から、その「何か」の深さが計算でわかるのです。

時間×速度=距離 ⇒ 小学生で習います …よね?

パルス波を使っても、パルスの幅が「ア-ッ、ア-ッ、アッ-」だったとします。この時すごく小さいものは「ア-ッ」の中に2つも3つも入っちゃいます。

だから本当は2つも3つもあるはずだけど、1つに見えちゃいます。「ア-ッ」では分解能は低いのです。

パルス幅はできるだけ短く「アッ」と短い方が分解能は高いのです。じつは、この距離分解能は機械まかせです。しいていえば周波数を高くすることで分解能は向上します。

周波数を変えられるプローブを使っている場合、高周波プローブを装備している装置、そして浅い部分に限定されますが…。

次に、方位分解能

超音波はプローブから発射されると真っ直ぐに進むか?というと、違います。

水に石を投げ入れると、そこを中心に円く波紋が広がりますね。超音波も同様に発射源から球状に広がってしまいます。(球面波っていわれます)

超音波ビームが広がると、画面上で横に並んでいるものが、すごく小さくて近くにある場合2つ、3つあるものをやっぱり1つと認識してしまいます。

だから超音波ビームは、できるだけ細くしたいのです。そこでフォーカス(焦点)という技術が出てきます。フォーカスとは、電気的な操作で超音波ビームを細く絞ることです。

この機能は、どんな装置にも付いています。(ある一部のメーカーではついていません)ほとんどの装置では画面横、深度表示あたりにある印がフォーカスの位置です。

フォーカス(超音波ビームを一番細く絞る位置)は、見たい部分の深さに調節しながら検査をすすめましょう。方位分解能が最もよい状態で検査できます。

最後にスライス方向分解能

プローブの厚み方向には「方位分解能」みたいに超音波を時間差で発射することができません。すると、やっぱり超音波ビームは広がってしまいます。

この「スライス方向」の分解能向上には音響レンズというものが使われています。

プローブの先端にゴムみたいなものがはめ込まれているのをご存知でしょう。これが「音響レンズ」です。

患者さんの身体に触れる部分だから、こんなものがついていると思っていた方はいませんか?この「音響レンズ」は一般的にシリコンゴムでできていて、超音波が屈折する性質を利用して超音波を細く絞っています。

じつは、大切な役割があったんですね。

もちろんこちらのフォーカス位置の調整はできません。最初からフォーカスの位置は決められちゃってます。なにせ、超音波の屈折を利用していますので‥

最近はスライス幅に対する分解能を向上するために、「2次元アレイ」とか「マトリックスプローブ」なんてものも出てきていますが、まだそれほど普及していないようです(高価です!)

なんだ!

じゃあ分解能をよくするためにやることは、周波数を高くすることと、フォーカスの調節だけかよ!

その通りです!

一般的にはね…。

分解能の向上 ⇒ 「周波数とフォーカスの調節」 あとは装置の性能にお任せしましょう!

では、何でわざわざ装置にお任せの分解能について、ここで書いたのでしょうか?

ワケがあります。

まず1つめは、超音波診断には限界があることを知ってもらいたかったからです。あくまで超音波の反射波を画像化しているだけであって、本物の組織を写し出しているのではないのです。

だから画像上では1つに見えているものも、実際は2つあるかもしれないのです。

2つめは、周波数とフォーカスの調節をして欲しいからです。いくらエコーに限界があるからといって、何もせずにあきらめて欲しくありません。

フォーカスの深さを調節しましょう! 時によってプローブを持ち変えてみることも必要です。お腹だからコンベックス、乳腺だからリニア、心臓だからセクタなんて決まりはありません!

でも分解能のことを知らないと、次に何をすべきか、さっぱりわからないですよね?

◆編集後記

超音波の基礎ってホントにヤヤコシイですね。でも基礎を理解することによって、検査の幅が無限に広がります。

つまり応用が効くってことです。

逆に、基礎がわかっていないと、目の前にある重要な所見を見逃したり、発見できるはずの病気や病態が見過ごしてしまうこともあります。

例えば乳腺のエコーで「何かおかしい!」と思ったとします。明らかな腫瘤はないんだけど・・・。

そこである人は「こういう乳腺なんだろう」で終わってしまいます。またある人は「ちょっと周波数変えてみようかな」と思いました。

結果は、周波数を変えてみたら、細かい石灰化が見えたのです!微小石灰化は乳癌の所見の一つですね。この患者さんは早期に見つかったため、乳房の全摘をまぬがれました。

基礎を「わかっているか、いないか」によって、これだけの差が出ます。差が出るのは、あなたの超音波技術ではなく、患者さんの将来です!

基礎? 原理?

知らないでは済まされません。

基礎を理解する時に役立ちます ← 超音波検査士が教える超音波の原理習得術

追伸

みなさん!

超音波検査士に「健診」という領域が追加されました!今まで症例の提出には健診(検診)での症例は認められていなかったため、主に健診をやっている方々は検査士の受験資格さえも得られなかったんです。その方々のための救済措置 なのでしょうか・・・?

追加された経緯はわかりませんが、「もっと早くして欲しかった」これが私の感想です。だって、症例集めるのってスゴクたいへんなんですよ。

健診の症例は山ほどあったのに・・・。でも「消化器、泌尿器、乳腺、頚部」と出題範囲が広く、試験はたいへんそうですね。

来年受験する方 頑張ってください!!

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