【フォーカス】(focus)
プローブから送信された超音波は、その特性から近い距離では直進しますが、遠距離になると球面状に広がってしまいます。
超音波ビームの広がりを防いで総合的な感度をよくするために、超音波ビームを収束させることをフォーカシング(focusing:集束法)といいます。
フォーカシングには凹面振動子、音響レンズ、反射鏡、電子フォーカス法などがありますが、最近の超音波検査では主に音響レンズと電子フォーカス法が用いられています。
【電子フォーカス】
アレイプローブには短冊状に振動子が配列されています。
配列されている振動子の励起に時間差を設けることで電子的なフォーカシングを行うことができます。
つまり、中央部に配置されている振動子の励起を外側より遅らせることで、進む超音波の波面を凹状にするのです。
この遅延時間を変えることによって、フォーカス点の距離を調節することが可能になります(ダイナミックフォーカス)。
また、フォーカス点をいくつか設けることで最適な超音波ビーム幅を構成することもできます(多段フォーカス)。
電子的なフォーカシングは、送信側だけでなく受信側でも行うことが可能です。
【音響レンズ】
音響レンズはプローブの先端についている白~グレーの色をした部分で、シリコンゴムがよく使われています。
音響レンズは、超音波の性質である屈折を利用して超音波ビームを絞り、スライス幅方向の分解能を向上させます。
スライスの厚み方向に対する分解能は音響レンズだけでなく、マトリックスアレイプローブやアニュラアレイといった電子フォーカスによっても改善できます。