初心者のための無料超音波セミナー
エコーに限らず、画像診断はキレイな画像で検査した方がダンゼン良い診断ができるわけです。年を追うごとに超音波診断装置の性能は良くなって、画像は良くなってきています。ただ、装置はどんどん良くなってきたとはいえ、でもやっぱり見にくい人はキレイな画像が出てきてくれない。
そこで、
よ~く目を凝らしてみる、
大きく目を見開いてみる、
少し遠目で見たりしてみる、
↑
画像がキレイに出ない時にやってる人をよく見ます ^^
ということで 、(どういうことだよっ!)
今回は『音響窓:acoustic window』の話をしたいと思います。
いきなり音響窓と言われてもピンと来ないかもしれませんね。ボクは個人的に、装置の性能を除いた技術的な部分でエコーで画像の良し悪しを決めるのは「距離」と「音響窓」、そして「アーチファクト」だと思っています。
キレイな超音波画像を描出するための要素のひとつ、『音響窓:acoustic window』のお話しなのですが、ここはエコー検査の技術面において、とっても大切なもの(個人的な意見です^^)なので、知っておいてもソンはないと思います。
そもそも、音響窓(:acoustic window)って何?
音響窓を簡単に言うと「何を介して目的部分に超音波をあてるのか?」です。
あまり気にしたことない方。
例えば、いわゆる下腹部エコー。膀胱やら前立腺やら子宮、卵巣といった骨盤腔内の検査では膀胱内に尿を溜めておこないますよね? 膀胱はぺっちゃんこだと中の様子がさっぱりわかりませんので、検査にならないから尿を溜めて行うのは当たり前なのですが、同様に男性の前立腺、女性では子宮や卵巣をチェックする時も「おしっこ」を溜めた状態で検査しますよ。これは、膀胱に尿が溜まっていることによって子宮や前立腺が観察できるからです。逆に膀胱内の尿がないと検査できない事も多々あると思います。
下腹部(骨盤内臓器)には、状況にもよりますが消化管など超音波が透過しにくい組織や、境界がはっきり描出されにくい臓器が多いのです。そんな時に「尿」があると、その後側にある臓器が比較的鮮明に描出できます。
「嚢胞」← エコーでよく見かける病変ですね。嚢胞の後ろ側には「音響増強」がみられます。これは嚢胞の成分が周囲の組織と比べて超音波を透過しやすいために起こる現象でした。嚢胞の主成分は「尿」と同じように「水分」ですね。水は均一で超音波を減衰させる要素が少ない。つまり、超音波が透過しやすいのです。
このように、超音波が透過しやすいものを目的部位の前に描出することによって、目的部位の描出能は大きく向上します。この時に目的部位の前に挟むものが「音響窓」というワケです。
じつは音響窓って、エコーを嗜んでいる誰もが無意識に利用しています。膀胱内の尿もそうですし、肝臓、胃、脾臓、胆嚢・・・。ともかく、キレイに見える理由の一つが、良い音響窓を利用しているに他なりません。
超音波検査をやっていると、「おっ この患者さんはキレイに見えるな」とか、「この人見づらいな~」とか、患者さんによって画像の良し悪しが全然違うのを感じますが、それで終わってしまうと進歩がありません。キレイに見える理由や見づらい原因を知っていると、色々な意味で超音波検査の技術が高くなります。
良い音響窓の条件とは
超音波の透過が良いものです。具体的には「反射がない(または弱い)もの」、「減衰の小さな構造」、「散乱等を起こしにくい構造」といったものです。もっと簡単に言うと「黒いもの」 ^^
これを「無意識」ではなく、「意識的」に使うのです。すると、あなたの描出能は大きく向上するでしょう!
『音響窓』← 意識的に使ってみましょう (^^)v
エコーの達人は、みんな意識して音響窓を使っています!
(と、思います)
◆編集後記
装置が変わると大変です!
「え~と、どこだ?」
「これかな?」
「あっ間違った!」
「あ~ イライラする!!」
使う装置を変えると、どの機能が、どこにあるんだか・・・
ボタンやツマミの位置は、メーカーによってバラバラです。たかだかフォーカスの深さを変えたり、サンプルボリューム幅を 広げようとするだけでも手間取ってしまいます。(^^;
一件検査するのに倍以上の時間がかかるし、全然集中できない。これって、メーカーの皆さん、何とかなんないんですかね~