腹部超音波検査 脾臓1 脾臓の解剖と描出

脾臓の解剖

脾臓の解剖です

脾臓の大きさと形状はとても個人差が大きく、成人の正常重量は80~120gほど。左第9~11肋骨の高さで腹膜後腔内、左横隔膜と左腎の間に存在しています。脾門まで腹膜に包まれ、横隔膜との間は横隔脾壁が、胃との間は胃脾間膜が存在します。

長軸は第10肋骨の走行に一致することが多く、後上方から前下方に向かっています。内側は胃底部と膵尾部、さらに左腎の上極と横行結腸脾彎曲部などが接して圧痕(凹面)を形成。

脾門部は脾動脈と脾静脈、さらにリンパ管が出入りしていますが、脾門部で脾動脈が描出されることはほとんどありません。脾静脈は脾門部で複数の脾静脈枝が集合して形成され、膵尾部の背側を走行し門脈に流入します。

脾門部には膵尾部や肝臓左葉、胃がみられることがあり、最初は腫瘍と間違えてしまうことがあります。立体的な解剖をよ~く理解しておきましょう。

脾臓の描出

脾臓は比較的高い位置にありますから、上方の前~外側の一部が肺の影響で欠損することが多く、エコーでは全体を描出することが難しい場合があります。

脾臓の観察はおもに左肋間走査で行い、補助的に左前額走査や左肋弓下走査を組み合わせて用います。

左前額走査は、腎などの周囲臓器との関連性を同時に観察できます。しかし、肋骨による影響で音響陰影が格子状に生じ、脾実質が一部欠損します。

脾の上部前面は胃と横行結腸に覆われるため、左肋弓下走査ではほとんど描出されないことが多いでしょう。

まず肺のガスを確認して、その下側を観察します。この走査を肋間を変えながら行うと、うまく観察できる位置がみつかります。患者さんに呼吸を調節してもらうことも大切です。この時、吸気が少なすぎても脾臓がうまく下がってきてくれません。また逆に息を大きく吸いすぎても肺によって欠損してしまいます。

プローブ走査と体位、患者さんの呼吸をうまく組合せて脾臓全体を描出しましょう。もちろん描出するだけではなく、脾臓全体をしっかり検査することが大切です。

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