腹部超音波検査 膵臓1 膵臓の解剖と基礎

膵臓の解剖

膵臓の超音波解剖です。

膵臓は大12胸椎の高さで後腹膜腔に位置し、十二指腸の内縁から脾門部までを横走するピストル型の臓器です。

膵臓全体の長さは15cm前後、重さは75g程度で、頭部(head)、体部(body)、尾部(tail)の3部に分けられます。

膵頭部は十二指腸下行部に囲まれていて、膵体部は前腹壁に向かって走行、膵尾部は脾門部 左腎上極の近くまで達しています。 体・尾部の腹側は胃に接しています。

超音波検査では、心窩部で横走査すると全体にアーチ型をしていて、「へ」の字に描出される臓器です。

膵臓内には膵管が走行しますが、主膵管(Wirsung管)は体・尾部でほぼ中央を走行し、頭部では総胆管との合流部分に向かってやや背側に走行、大十二指腸乳頭(Vater乳頭)に開口します。

副膵管(Santorini管)は主膵管とつながっていて小十二指腸乳頭に開口します。

膵管は膵体部で最もよく描出できますが、尾部では走行が斜めのために膵管壁からの反射が少なく、描出は難しいといえます。

総胆管は門脈の腹側から外背側に斜めに横切るように走行し、膵内胆管として頭部背側1/3の位置に描出されます。

膵臓の描出

腹部検査でエコー初心者が最も描出に苦しむのが総胆管と並んで「膵臓」だと思います。見つけにくいケースにおいては、周囲の血管を目安に行うとよいでしょう。

特に横走査では脾静脈、脾動脈を、縦走査では肝臓左葉、上腸間膜動脈、腹腔動脈を目安にすると描出が意外と簡単にできます。

膵臓の正常像

大きさは個人差があります。通常は厚み(前後径)を計測して腫大や萎縮を判定します。頭部で20~30㎜、体部、尾部で15~20㎜を目安として判定するとよいでしょう。

ただし、膵臓は年齢、性別、体格、加齢などによって個人差が大きいため、単に計測値だけで判断せず、全体のバランスやエコー像も考慮して判断しましょう。 また、腫大は限局的か全体的な腫大なのかを確認することが重要です。

膵臓実質のエコーレベルは肝臓と同等か、やや高くて均一ですが、加齢とともに腺組織の萎縮や線維化、脂肪組織への置換によってエコーレベルの上昇がみられることがあります。

また、体格によって膵臓は位置する深さが異なります。このことによってもエコーレベルに影響を与えますので注意が必要です。

膵管は膵臓病変の影響を受けやすく、膵管の変化をとらえることは診断の有用性が極めて高いといえます。一般に2㎜以上を拡張所見としますが、単に拡張の有無だけではなく拡張は平滑なのか、不整なのか、数珠状なのかといったことを確認することが重要です。

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