腹部超音波検査 脾臓3 脾腫

脾腫(splenomegaly)について

脾腫をきたす疾患は多彩で、肝硬変を代表とするび慢性肝疾患や門脈圧亢進症、血液疾患、感染症、代謝性 疾患、膠原病、過形成、腫瘍などがあります。

門脈圧亢進による「うっ血」は肝硬変などの肝疾患や、門脈あるいは肝静脈の閉塞が原因となり、これが進行すると門脈系に側副血行路を形成します。

脾本来の組織の過形成は、細網内皮細胞やリンパ球などの細網系細胞が反応性あるいは腫瘍性に増殖したもので、誘因として感染症や溶血性貧血、悪性リンパ腫などが挙げられ、肝やリンパ節の腫張をともないます。

脾臓は肝疾患、血液疾患、感染症などと互いに密接な関係にあり、脾腫が検出された場合にはこれらを考慮に入れて検査を進めることが必要です。

脾腫をきたす疾患

瀰漫性疾患 肝硬変、急性肝炎
門脈圧亢進症 特発性門脈圧亢進症、門脈血栓症、Budd-Chiari症候群、 右心不全、他
血液疾患 白血病、悪性リンパ腫、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、 鉄欠乏性貧血、他
感染症 敗血症、亜急性細菌性心内膜炎、チフス性疾患、伝染性単核球症、結核、日本住血吸虫症、マラリア、他
代謝性疾患 Gaucher病、Niemann-Pick病、アミロイドーシス、ウィルソン病、他

脾臓の判定方法

脾腫の判定には、左肋間走査で描出される脾臓の最大断面像を二次元的に計測して求めるspleen indexを用いることが多く、種々の計測法があります。

千葉大学第一内科の式

脾門部から脾前縁までの径(a)とこれに直交する径(b)の積で求められる面積(a×b)を大きさの指標とします。

古賀の式
後上縁と前下面の距離(c)と脾門部を起点とするこれに直交する径(b)の積で求められる面積(c×b)を大きさの指標とします。

脾腫の判定の注意点と超音波検査のポイント

脾門部脾静脈の拡張と蛇行肝左葉が肥大して脾前面に達する場合があり、肝左葉を脾腫と誤認しないように注意が必要です。

脾臓は年齢・体格・性別などによって個人差が大きいため、小柄な女性や高齢者ではSpleen indexが正常であったとしても、形状が丸みを帯び、辺縁の鈍化が見られる場合は脾臓が腫大している場合があるので注意が必要です。

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