初心者のための無料超音波セミナー
▼誰もが嫌いな超音波の基礎
超音波の特性をしっかり理解しましょう。
といっても、難しくてイヤですよね~。
私も嫌いです (^^)v
でも知っておくことが必要なんです。
超音波のクセを理解して、さらに利用できると
診断力がグンとアップします。
まずは難しい計算式は抜きにして簡単なところ
から少しずついきましょうか。
普段使う装置の調整との関係から考えると
理解しやすいかもね。
STC:sensitivity time control
超音波検査は人の聞こえないような高い音波を
利用して検査をしています。
プローブから音波を出し、反射して返ってきた
音波を受信してそれを画像化して検査に利用して
いるんですね。
ところが、出した音波は途中でなくなっちゃたり、
どこかへいっちゃうものもあります。
変な方向に曲がっちゃう音波もあります。
(難しい言葉で言うと減衰とか散乱とか・・)
ともかく、ちゃんと戻ってこない超音波がいるって
ことです。 特に遠いところまで行ったヤツほど
ちゃんと戻らない。
あなたが遊びに行ったときとまったく同じです。
(^^)
そこで、STCが必要になってきます。
近い部分はたくさんの超音波達が戻ってきますが、
遠いところからは少ししか返ってこないのです。
なので、画面上で遠い(深い)部分っていうのは、
何もないと暗~くなってしまいます。
それでは困るので、実は超音波検査装置が深さに
応じて返ってきた信号を調整してくれているんです。
それが「STC」とか「TGC」といわれるものです。
実際の検査では、STCで調整しているにも関わらず、
画面の深い部分が浅い部分にくらべて暗くなってし
まう場合もあります。
これは、通常よりもさらに返ってくる超音波が
少ないことが原因。
色々ありますが、よくあるのが肝臓に脂肪が沈着
している「脂肪肝」です。
超音波の特性を利用して、これが診断所見の一つ
にもなっていますね(深部減衰とか言います)。
こんな時、ここで写真を残して「脂肪肝!」
はい 終了!
とならないでくださいね。
見落としを防ぐため、STCで深い部分の輝度を
上げて観察しましょう!
(それでもダメなら他の手もありますが、それは
また今度^^)
GAIN:ゲイン
超音波検査はプローブから音波を出して、
反射して返ってきた音波を受信し、それを
画像化しているといいました。
STCは深さに応じて返ってきた信号を
調節してくれているといいました。
(自分で調節もします)
簡単にいえば、GAINは返ってきた信号の
全部を一気に調節する機能ですね。
ゲインを下げていくと画面は真っ暗になります。
上げていくと画面は真っ白になってしまいます。
GAINが低すぎると見えるものも見えなくなって
しまいます。
逆に高すぎてもダメ。
プローブを当てたら、まずGAINを調整しましょう。
ちなみにGAINの単位はdB(デシベル)で増幅度を
あらわします。日本語で「利得」といいます。
▼ある日の出来事
「プルル プルル プルル」
検査室の電話が鳴り、電話にでると外科医から
今エコーやってんだけど、この機械壊れてる
みたいだから「ちょっとみてくれ」というでは
ありませんか。
すぐに外科診察室に行くと、
まさに今、乳腺の穿刺細胞診をやろうと準備が
終わり、さあ刺すぞ!という状態。
ちらっとエコーの画面を見ると・・
真っ暗!
あれーおかしいナ 電源は入ってるし
こりゃ壊れたかなと。
でもよく画面をみると、うす~く何かみえる。
ちょいとゲインのダイヤルを回すと・・・。
「先生 直りました!」 (^^)
その後 うまく細胞は採れたようです。
※本来ならばSTCよりGAINを先にやるべき
だったのですが、あまりにもSTCのツマミを
さわらない人が多いのです。
そのためGAINは後回しにしました。^^
装置の調整は検査結果に大きく影響します。
どんどんいじってみましょう!