初心者のための無料超音波セミナー
超音波検査をはじめたばかりの時、
一通り検査を行った後に、先輩にチェンジ。
ちゃんと検査ができているかを再チェックしてもらう。
すると・・・、
あれ~っ??
さっきボクが見た時には、なかった(ハズの)
「嚢胞ちゃん」や「ポリープくん」が出現!!
この数分間の間に、新しくできたのかな~?
(そんなことあるわけねーだろ!)
Contents
こわ~いエコーの見逃し・見落とし
エコーの見習い期間や研修中で、先輩やベテランさんにチェックしてもらえる間であれば・・ ですが、これが1人立ちした後ではシャレにもなりません。
ということで、
今回は「こわ~いエコーの見逃し・見落とし」についてです。
超音波検査で異常を拾い上げられない原因はいくつか考えられますが、「技術的な問題」や「超音波検査の弱点によるもの」、「画像に映っているのに拾い上げられない」ということに集約されるのではないでしょうか。
1.エコーの技術的な問題
超音波検査は、目的とする部位に対して自分でビームを向けてあげないと画像に映りません。
え、よくわからない?
プローブから出される「超音波ビーム」は、薄っぺらな断層面を画像に表示しています(あ、厚みは多少あります)。しかも、それは自動的に臓器の隅から隅まで映し出してくれるのではなく、自分で「超音波ビーム」を向けてあげなければ表示されない。。。
「いや、そんなことはわかってるよ!」
とはいうものの、やっぱりこの原因による「見逃し」は絶えないようです。でも、ここはちょっと考え方を変えるだけで簡単に避けられる問題ですよね?
まずは、目的とする「臓器ぜ~んぶ」に超音波をぶつけてあげることが大切。それには、見たいものが「見えなくなるまで」動きを止めないことが重要です。
たとえば・・・
教書に載っているようなキレイな写真を撮ることだけに頭が一杯になっていたり、フリーズボタンを押す指にだけ神経が集中していると・・・。
見逃します ^^;
なので、まずは臓器がしっかりと見えなくなるまで(端っこまで)超音波ビームを向けてあげましょう!あとは、できるだけ見やすいキレイな画像を出せるように技術を高めることも大切ですね。
2.超音波検査の弱点
エコーといえども、苦手な場所が結構あります。
骨やガスの後ろは、ご存知のとおり「音響インピーダンスの差」や、「エコーの減衰」が原因となって超音波の届かない部分です。
時に、どんなことをやっても見えない部分が生じるのは、超音波の原理上 仕方のないことですが、できるだけ「死角」は無くしたいところですから、ちょっとした工夫をしてあげましょう。
体位を変えてみたり、呼吸位を調節したり、圧迫でどけてみたり、音響窓を変えてみたりして、超音波を通さない部分を避けましょう。
あ、その前に「どこが見えないのか?」を把握していなければ、何をしていいのかもわかりません。見えていない部分が「どこなのか?」がわかっていないとできないことですから、しっかり場所がわかることが先決です。
3.目の前の異常を見逃してはいませんか?
しっかりビームを向けていたとしても、目の前に映し出された異常に気付かなければ、これもまた「見逃し」てしまいます。
まずは正常像を目に焼き付けましょう!
よく、最初は「後で見てろ!!」なんていわれて、先輩の検査を後ろで見学させられますよね。
そうそう、あれって、眠くなるんですよね~
なんてったって、エコー室は基本的に「暖かくて、暗い」。しかも「静か」ですから。同じような白黒画像が動いているだけで、何をどう見ているのかもわからないし。。。
もう、眠さをこらえるのに必死です (ρo-) oо〇
つまり、(何がっ!)
いろいろなバリエーションをもった正常画像を、できるだけたくさん見たほうがいいってことです。正常な像を知っていれば、「ちょっとやそっとじゃ」異常を見逃したりはしません。
そして、異常画像も見ておくことが大切。1度見たものは、次に画像に出てきた時にも気付くはずですよね。
そうはいっても、「うちの病院、検査数が少ないから、あまり見れないんだよ・・」ということもあると思います。実際に疾患のある方を対象として検査をする頻度が少ない施設では異常画像を見れません。
でも、これは専門書などにたくさん載っていますし、最近はDVDとかも出てますから、これで補いましょう。
「こわ~いエコーの見逃し・見落とし」について書いてみました。
○「対象臓器が見えなくなるまでビームを向けましょう」とか、
○「体位や呼吸位、圧迫、音響窓を意識しましょう」とか、
○「正常像を目に焼き付けましょう」
なんてことを書いたと思います。これらは見落としを防ぐために最低限必要なことだと思いますから、「見落としちゃうんです!」って方は、ぜひ意識して取り組んでみてください。
エコーは見逃しなく、そして効率よく~!!
で、次はもうちょっとだけ踏み込んで、
「見逃さず、しかも効率よく検査するには?」
について考えてみようと思います。
効率よく検査を進めるために
超音波ビームを目的の臓器や組織全体に対して入射した。
死角ができないように、患者さんの体位や呼吸位、そして圧迫、音響窓といったものを利用して、いつもキレイな画像も出せるようになった。
装置の調節もバッチリ! 最適な条件に設定しながら検査が進められるようになった。
正常像も「これでもか」ってくらい見た。
そして、眠さにも頑張って耐えた ^^;
良い画像を死角のないように描出できて、正常画像をしっかり頭に入れておくことで、異常があった場合には、それが即座に目に飛び込んできます。異常にすぐ気付くことができますから、大切な所見を見逃さないですむようになります。
で、次に考えたいことは、効率ではないでしょうか?
人間の集中力もずっと長く続くものではありませんし、できるだけ無駄なことは避けたいところですよね。短時間で検査することも大切なことです。
そこで大切なのが「エコーのチェックポイント」を意識することではないかと思います。
ただ単に画像全体を「ボ~っと」眺めているだけでは、効率的ではありませんし、もしかすると、すごく重要なものを見落としてしまうかもしれません。
例えば腹部エコーで胆嚢を検査する場合・・・
「大きさや形はどうか?」とか、
「壁の肥厚はないか?」とか、
「結石は?」
「隆起性病変は?」
「胆泥やデブリエコーはない?」
「周囲に異常はないかな?」
といった具合に、チェックすべきポイント一つ一つを確認しながらおこなうことで、短時間で見逃しなく検査できますよね。
また、臓器毎にチェックポイントもありますが、症状から考えなくてはならないチェックポイントもあります。
専門書を勉強すればチェックすべき部分と、正常値・異常値・評価ポイント、手順などが書いてあります。
検査時は画像を漠然と見るのではなく、しっかりとチェックすべきポイントを意識しながらやるといいですね。