腹部超音波検査 肝臓2 肝臓クイノー区域

肝臓の区域 (couinaud分類)

肝臓区域の「分類と同定」は超音波検査を行う上で絶対に必要な事項です。面倒ですが、 最初にしっかりと憶えておくことで、後が楽になります。

それではちょっとだけ頑張ってみましょうか。

クイノーの肝区域分類

S1:尾状葉区域
S2:後外側区域(外側上区域)
S3:前外側区域(外側下区域)
S4:内側上下区域(方形葉)
S5:前下区域
S6:後下区域
S7:後上区域
S8:前上区域

まず、肝臓はCantlie線(カントリー線:下大静脈と胆嚢窩を結ぶ仮想線)で右葉と 左葉に大きく区分されます。カントリー線に一致して主葉裂溝(major lober fissure)が存在し、その中を中肝静脈(MHV)が走行しています。

右葉は前区域と後区域に、左葉は内側区域、外側区域と、計4区域にわけられ、さらにこれらの区域を2区域ずつに分けて8区域としたのがクイノー(couinaud)分類です。

肝臓の区域は門脈(肝動脈)の支配領域によって区分され、境界には肝静脈があるので、区域の同定は門脈と肝静脈を指標にしておこないます。

実際の画像です。

右肋骨弓下斜横走査で頭側へビームを向け肝静脈を描出。中肝静脈で左葉と右葉の境界を見たところです。

左葉と右葉の境界で縦走査。胆嚢窩と下大静脈(IVC)を結ぶカントリー線、中肝静脈(MHV)が描出されています。

再度、プローブを横走査に戻し、肝静脈面から尾側へビームを向けて門脈を描出したところです。UPと静脈管索で外側と内側に分け、外側前がS3、後側がS2です。内側前がS4方形葉、後方が尾状葉です。ここでは描出されていませんが、尾側へビームを向けるとUPから尾側に向かって肝円索が続いてみられます。

左葉を縦走査で描出すると、左肝静脈(LHV)が上下方向に前(S3)後(S2)を分けています。一番後方で静脈管索で囲まれた部分が尾状葉(S1)となります。

もう一度最初の右肋骨弓下斜横走査で肝静脈面。中肝静脈(MHV)より右側が右葉(当たり前^^)。右葉は右肝静脈(RHV)で前後に、前上区域がS8、前下区域がS5、後上区域がS7、後下がS6になります。

右葉を縦走査で描出したところです。難しいですね。。

クイノーの肝区域分類の攻略は、プローブの向きと画面に映っている断層面の理解にあると思いますので(逆に、そこが理解できていないと、一生クイノーの区域はわからないかも)、そこに取り組むことが先決かもしれません。

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