簡単なようで難しい「胆嚢の超音波検査」①

初心者のための超音波セミナー

前回に引き続き胆道系 今回は「胆嚢」です!

今回は・・

▼簡単なようで難しい「胆嚢エコー」

胆嚢だけでも全部やると、このメルマガ10回くらいかかっちゃうので、重要なポイントだけを教えましょう。

胆嚢といえば、まず胆嚢結石が頭に浮かんでくる人。

とりあえず合格です! ← ホントかなぁ?

でも、やはり胆嚢で多く見られるのは「胆石」と「胆嚢ポリープ」ですね。

胆嚢は肝臓の下側にくっついているナスのような形の臓器です。 1/3くらいは胆嚢床という場所に固定されていて、残りの2/3は適当に動ける状態で肝臓と一緒に腹膜で覆われています。

正常の「大きさ」「胆嚢壁の厚さ」「内部エコー」は大切ですから、必ず頭に叩き込んでおいてくださいね。

胆嚢を検査するとき 何から見ますか?

まずは大きさ、そして胆嚢壁を見てみてください。

○胆嚢壁の厚さは正常ですか?

胆嚢壁が厚い場合は、まず「食後何時間経過していますか?」「何を食べましたか?」と聞いてみましょう。

食後 特に脂肪分を食べた後は、胆汁を排泄するために胆嚢が収縮します。 食後でもないのに胆嚢壁が厚い場合は「胆嚢炎」「胆嚢腺筋腫症」「胆嚢癌」などが考えられます。

胆嚢以外の疾患では「肝炎」も頭に入れておく必要があります。

○鑑別法

鑑別方法は、いろんな本に書いてあります!

じゃあダメ? ですよね?  m(_)m

全周性で均一に厚い場合は「胆嚢炎」「肝炎」がもっとも考えられます。多くは胆嚢周囲に貯留した水分がみられ、胆嚢壁が三重(※1)になっていることもあります。

「急性胆嚢炎」は胆嚢部分をプローブで「押すと痛み」(※2)があり、「胆嚢内腔はパンパン」「結石をともなう」ことが多いですね。

「慢性胆嚢炎」は急性と同様に「結石」を伴うことが多く、胆嚢壁が三重にはなっていません。進行すると石灰化を生じてきます。「胆嚢腺筋腫症」「胆嚢癌」との区別が必要な場合がありますので注意が必要です。

一方「肝炎」での壁肥厚は「胆嚢内腔が虚脱」「他の肝炎所見」で鑑別できます。

(※1)sonolucent layer

(※2)sonographic Murphy’s sign

じゃあ、部分的に厚い場合はどうでしょう?「胆嚢腺筋腫症」「胆嚢癌」を考えましょう。

「胆嚢腺筋腫症」は全周性に肥厚していることもありますが、「RAS(Rokitansky-Aschoff sinus)」と「comet like echo」を特徴としています。

RASは胆嚢の粘膜が憩室様に陥入したもので正常にもみられますが、胆嚢腺筋腫症では増加がみられます。らしいです!

comet like echoとは字のごとく彗星のようなエコー像で、胆嚢壁の石やRASによる多重反射(あとで説明しますね)によっておこるアーティファクトです。

はー 今回はこれくらいで…。

そうそう、胆嚢は少なくとも必ず3方向 + 体位変換して確認してくださいね。

あと、胆嚢の周りに脂肪がたくさんついている人が結構います。胆嚢炎なんていわないように気をつけてくださいね! (^^)V

次回は「胆嚢癌」「胆嚢ポリープ」「胆嚢結石」を予定しています。 お楽しみに!

◆編集後記

ある日、」胆嚢壁の肥厚を見て「癌みーつけた」と喜んで帰ってきた技師がいました。

写真を見ると、どうみても胆嚢腺筋腫症です。「これのどこが癌だと思います?」と聞くと、「胆嚢壁が肥厚してるじゃん」「癌でしょ これ?」

あいた口がふさがらないとは、まさにこのことです!!もちろんこの技師 今は超音波検査やってません。(^^)V

知り合いの方への転送大歓迎です!!

どんどん仲間を増やしましょう!
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